フェイクタウンフィジカルグラフィティ第4景:Happy Feeling

 でもメゲナイ。また次がアル。だからクヨクヨシナイ。悩まない。悩んでる暇はナイ。時間はナイ。次はあの人をフォローしよう!その人はあの人をフォローしていて、あの人は彼をフォローし彼は彼女をフォローして。そしてどこからか僕の元にフォローが届く。僕はその人をフォローする。その人の事はよく知らない。でもフォローで返してあげる。そして気が付いたらフォローが一つ消えてる。まあイイサ。

 さあ!町に出よう。いいですね!イイですね。その風景いいですね!あっ、その笑顔ハッピーな感じイイですね!その紅いボトムスお似合いですね!町中ハートがあちこちに現れては消え、消えては現れる。スカイブルーに映えるハッピーの雨!いいですね!共感のパルスが飛び交う。だから傘は必携!紅いアンブレラ!その傘の真上で鳴る雨音のリズムと歩調をシンクロナイズドさせて、出会う人やモノと相合傘で写真を撮る!気軽にとる。どう!お似合いですか?どうですか?うん!なんかいいね!

 だぁっ!通りの曲がり角から黒光りのマモノ。デカイ!グロイ!エグイ!ぐえっ!見なかったことにしたい!でもサケラレナイ!じーっとミツメル。ミツメル。ミツメル。この場を一瞬の時間としてやり過ごしたい。逃げ切りたい。あっ!ブロック塀の上に女の子が一人。女の子の頭上、フッと宙に浮かんだフォローマーク。瞬間、力んだ全身がシボンデイク。なんかウラヤマシク。マモノとガールの組み合わせ。嫉妬する。二人がこちらに振り向く。すかさず二人にフォローする。女の子とマモノはダウンタウンの方向に向かって歩き去っていった。

 黄色い消火栓をフォロー。紅い郵便ポストをフォロー。青い草原をフォロー。灰色の電信柱をフォロー。電信柱に張り付いている紅いマモノにもフォロー。暗い謎の洞穴をフォロー。空飛ぶドローンをフォロー。そのドローンがドローイングしてるマモノもついでにフォロー。そして僕も紅いバスに乗ってダウンタウンへ繰り出そう!さっきの黒いマモノと女の子が向かった方に付いていこう!

  

 ダウンタウン行きの紅いバスはアップタウンを走り去っていく。

 空は水色。空中にマモノたちの吹き出しがこだまする。

 フェイクタウンの一日が始まる。