フェイクタウンフィジカルグラフィティ 第3景:FLORA

  FLORAはまるでマネキン人形のような涼しい顔で成長していく。DOWNTOWNの質実剛健なビルディングの男たちを尻目に神の領域へと向かおうとして。このクールな女はUPTOWNの一角に鎮座し、いつも冷たく微笑んでいる。

 FLORAは花の形をしたロボットである。AIが搭載された現代のファムファタル。目的は宇宙へと手を伸ばすこと。花びらの中から幹のようなものを複数伸ばし天へと向かわせていく。ロケットやスペースシャトルではない。地球上にありながら宇宙区間へと手を伸ばしていくわけであるから、地球と宇宙を繋ぐロープのようなものを創造しようとしている。この手は成長に際限がない。宇宙の星々と文字通り繋がり、宇宙ステーションとも繋がり、この幹伝いに様々なものを輸送することが可能となる。FLORAの線は母なるコスモスとのへその緒であり、宇宙で働く者の命綱でもある。

 この美しく気高い女にはもう一つ別の目的が刷り込まれている。どこまでも高く高く伸び上がって世界中の名だたる建築物を追い越そうという目論見である。これは先日すでに世界一の高さを誇るビルを抜いてしまい目的は達成されてしまった。今はこのFLORAが建築物として認められるかどうかでギネスブックを更新する期待と批判の論争を巻き起こしている。

 巷に散らばる批判の一つ一つは、FLORAが1㎝ずつ成長を更新する度にすぅっと消えていく。FLORA開発者は世間の批判には取り合わない。この麗しき女の一歩一歩ごとの微笑の前に雲散霧消するであろうと思っている。FLORAは民間企業によって開発されている。この開発事業の本拠地はUPTOWN。クラウドファンディングで資金が調達され、様々な分野の活動家たちの協力のもと運営されている。FLORAのお蔭でこのUPTOWNは世界の注目の的になっていて、夜になると彼女はネオンで輝き一筋の美しいラインを垂直に描く。ネオンの海に聳え立つDOWNTOWNの高層ビル群の窓から眺める一筋の光。羨望と期待と嫉妬と夢の視線を一身に浴びながらFLORAはどこまでもクールに駆け上がっていく。

 人類は常に上を目指そうとする。重力から解放されんとするためか?神に近づこうとするためか?今一人の女が彼方のスカイスクレイパーの蜃気楼を舞台背景に、高みから差し伸べられた神の右手を掴もうとしている。フェイクタウンのはるか上空で、FLORAは愛と情熱のダンスを神と踊るのか…それとも21世紀のバベルの塔になってしまうのか…。

 

 夢と危うさを纏った孤高のヒロイン。ストーリーはドキドキするクライマックスへ。

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コメント: 1
  • #1

    Berneice Vantrease (金曜日, 03 2月 2017 10:55)


    Hello colleagues, how is the whole thing, and what you wish for to say on the topic of this paragraph, in my view its in fact amazing for me.